医療用ガウンの生産

医療用ガウンの生産

宮田織物では、2020年6月にアイソレーションガウン(不織布でできた医療用の使い捨てガウン)を製造致しました。

不織布の裁断は、いつもの宮田織物の和木綿(わもめん)の裁断とは勝手が違いますので、いろいろ工夫しました。宮田織物は自動裁断機を導入していますが、重ねることができる枚数があまりにも少なく、何回も延反しました。

縫い上がったものを一枚一枚検品し、畳んで梱包します。

キャップをかぶり、手袋をして。医療用ですからとても神経を使います。製造スタッフだけでなく、全社員で生産に取り掛かりました。

自分たちの縫っているこの一枚一枚が医療現場でお役に立てる、そう思うだけで本当に嬉しく、励みになります。有り難いことです。

宮田織物は創業大正二年、久留米絣の機(はた)屋から始まりました。

昭和40年よりわた入れはんてんの生産を始めたのですが、少ないアイテム数を大きなロットで生産する(大量に同じものを作る)というやり方でした。その頃の縫製現場では、みんな同じものを縫っています。

平成に入り、わた入れはんてんが価格競争に巻き込まれたこともあり、宮田織物では品質を重視した生産体制を追求しました。さらにわた入れはんてんだけでなく、自社で織り上げた布地で婦人服も作るようになりました。

平成の30年間をかけて少品種大ロット生産(大量に同じものを作る)から、多品種小ロット生産(より良きものを少量ずつ作る)に変えてきたわけです。

そこに新型コロナウイルスです。

今までの多品種小ロットとは真逆の単品種大ロットのものづくり。この切り替えが想像を絶する大変さでした。平成の時代を丸々かけて今の体制になったのものを、たった2週間で昭和のわた入れはんてんの時の、いやそれ以上の単品種大ロットのものづくりに対応させたのですから。

工場長を始め、全スタッフ総出で対応にあたりました。全社を挙げてアイソレーションガウンを作ったんです。この経験は、宮田織物の大きな財産となるでしょう。真逆のものづくりを自在にスイッチできるようになったら、どんな変化にも対応できるでしょうから。

ウイルスは進化を促進するといいますが、新型コロナウイルスが宮田織物の進化を促進するかどうかは、宮田織物の頑張り次第。スタッフと共に頑張っていきます。関係各位のみなさま、ありがとうございました。これからも、よろしくお願いいたします。

最後に、新型ウィルスでお亡くなりになった皆様のご冥福を心よりお祈り申し上げます。そしてどうぞ、新型コロナ禍が収束し、一日も早く穏やかな日常が戻りますように。

宮田織物株式会社 代表取締役社長 吉開ひとみ