宮田織物オリジナルテキスタイル「和木綿」

宮田織物オリジナルテキスタイル「和木綿」

宮田織物では、全国でも、稀な生産体制をとっています。

それは、布地のデザインから
糸選び、織り、商品デザイン、裁断、縫製に至るまで、
全てを自社で行うということ。

全てを自社で行なうということは、
それだけ、全ての工程において責任と自信がないとできません。

和木綿(わもめん)とは、宮田織物オリジナルの木綿織物です。
このページでは、和木綿についてお伝えして参ります。

  • 和木綿コンセプト
  • テキスタイルデザインのはじまり
  • 生地をつくる
  • 和木綿の生産工程
  • 和木綿を洗う/検証
  • 久留米絣ではありません
  • 宮田織物の現在とこれから

和木綿コンセプト

「和木綿」のこだわり

木綿の風合いに、こだわり
今までにない風合いに、こだわり
伝統を生かすことに、こだわり
新しい感覚に、こだわり
そして何よりも、着心地にこだわりながら
より良いものへと挑戦を続けます。

伝統をていねいに、つないでいくもの。


大正二年から続く宮田織物の伝統。
最新の生地でも十年程前の生地をベースに、
今の暮らしにあうデザインを考えながら生地作りがスタートすることもあります。

手間がデザインを実現するもの。


生地の考案をして織上がるまでに、いくつもの手間がかかっています。

新しい生地を織る場合には、織機の枠をすべて取り払い、
織機を動かすためのプログラムを作る作業に短くても丸々3日の時間を費やしています。

手間をかけることで、宮田織物の和木綿のデザインが実現します。

歴史にとらわれないもの。


宮田織物には、百年をこえる歴史があります。
ですが、やりたいと思ったことをやります。
これはやっていい、でもあれはやらないという線引きはしません。

流行にとらわれないもの。


年間約50柄近くの生地を新たに考案しています。

考案のアイデアになるものは、
日常の中で生まれるものがほとんどです。

何かを見てこれは美しいなと心動かされたものや、
こんなものを作るぞと意気込まず、
作意のない所からスタートすることもあります。
その年の流行は、特に気にしていません。

挑戦するもの。


こんな生地があればいいのにな。
と思うことからスタートすると

なかなかうまくいかず振り出しに戻ることがあります。
そこから、新しい発見をすることもあります。

育つもの。


綿100%の生地を織ることが多いのですが、
出来立ての生地の風合いは柔らかく、軽さが特徴的です。

しかし、お客さまのもとで
長い間ていねいに着て頂いた和木綿は、
さらに体になじんで良い風合いに育っていきます。

人を想うもの。


誰かがその和木綿の服を、生地を使ってくださることを
想いながら、想像しながら、
糸選び、柄の考案、整経、織り、縫製が進んで
ひとつの和木綿ができあがっています。

テキスタイルデザインのはじまり

宮田織物で作られているテキスタイルは、
レピア織機を使った先染めのドビー織物がメインです。
(一部シャトル織機を使ったテキスタイルもあります)

織機には、ドビーという装置がついていて、
そこに、テキスタイルの柄を伝えるカード
(宮田織物では「パンチカード」と呼んでいます)を
セットすることで、機械がカードを読み取って、
経糸を上下に動かして柄を作っていきます。

▲この穴がたくさん開いたカードが「パンチカード」です。

オルゴールのように、
針が穴に落ちたり、落ちなかったりすることで、
経糸の上げ下げをコントロールしています。

宮田織物では、テキスタイルデザイナーが
このパンチカード作りも行います。

1m近い柄になると、
このカードが10m近いカードになり、穴の数はおよそ2万点。

専用の機械で穴を開ける作業をしますが、
最終チェックは人の目で、
数を数えて穴の位置が間違っていないか1穴1穴確認をしていきます。

「見えないところに手を抜かない」
宮田織物のものづくりに対する想いがこもった
テキスタイルは、1柄1柄がオリジナルの特別な生地ばかりです。

また、多種多様な柄が織れるジャガード織機と違い、
ドビー織機にはいろいろな制約があります。

しかし逆に、この制約の中で、ドビー織機で、
どうしたら私たちの思う面白い柄が織れるか、
そう考える事が楽しいのです。

生地をつくる

宮田織物では、SS(春夏)・AW(秋冬)と
2シーズンに分けて生地の考案をしています。

年間約30~40の新柄、
色数も合わせると100色近い生地を新たに生み出しています。

その工程では、「マス織り」と呼ばれる
生地の色や触り心地などを確認する為の試し織の様な工程が入ります。

経糸何パターンかを1つのビームに整経し、
緯糸もイメージの色味になる様何色も通していきます。

▲織物の経糸を準備する整経機と言われる機械です。

カラフルな縦縞の糸が並んでいますが、
この経糸に緯糸を何パターンも通し、
無限の組み合わせの中から企画に最適な色を厳選していきます。

この写真に巻かれている経糸は
何と4000本以上の糸が整経されているのです。

色の明度・彩度が絶妙な塩梅になる様、
経糸と緯糸の色の混ざり具合を調整していく

とても気持ちの入る工程です。

この「マス織り」が織り上がると、
マス状の生地の中から製品に仕上げる色を決めていきます。

シミュレーションでは、
見ることのなかった想定外の組み合わせが、
案外いい色を出していたりして、
運命的な色が誕生することもしばしば。

無作為の中に生まれる美しさは、
やはり目を惹かれる何かがあります。

和木綿の生産工程

和木綿のデザイン・色が決まると、織り工程に取り掛かります。

1、整経

経(たて)糸をビームという大きな糸巻に、整経機で巻き上げます。

2、経通し(へとおし)

経糸を一本一本手作業で部品に組み込みます。

▼写真は、綜絖(そうこう)に通した経糸。吸い込まれて、今にも動きだしそうな一枚。この綜絖と言われる部品に経糸を通す作業は、
まさに、糸に命を吹き込む作業です。
多い時には6000本以上の経糸を、一本一本手作業で通していきます。

この作業は「引込み(ひきこみ)」と呼ばれ、
宮田織物の和木綿に命を吹き込む、表情をつける大切なひと手間になるのです。

4、経糸(たていと)を織機にかける

1本1本、丁寧に。

5、緯糸(よこいと)を入れ、織り上げます。


6、織り上がった布地は、人の目と手でしっかりと確認します。

7、ここまでの工程を経て、和木綿は一枚の織物となります。

→ 和木綿の生地の生産工程に携わる職人の話
宮田織物の人から生まれるものづくり

和木綿を洗う/検証

生地の風合いチェックも、製品を作るときも、
私たちつくりては、整理加工上がりのピカピカの状態の生地を扱っています。

その生地が、製品が、お客様の元に渡って、
どんな和木綿に成長していくのか。

それを知るために、和木綿の中でも
糸の番手、織組織、混率が異なる生地を
数種類洗濯試験してみました。

洗濯して縮む事で、織柄がよりくっきりと浮かび上がったり、
平織りの生地が複雑な織柄のような表面変化を見せたり。

織物特有の変化も見れる面白い検証になりました。

和木綿は天然繊維を使用しているため、
手洗い・陰干しを推奨していますが、
今回の試験では、あえて
[洗濯機で洗う・日のあたる場所で乾燥]という状態で試験してみました。

社内でも生地を触って、見比べてもらいましたが

「加工上がりのさらりとした風合いもいいけど、洗濯してより肌になじむようになった生地もいい」
「思ったよりシワ感が気にならない」
「色あせ感が自然」
と検証にいろんな意見が出ました。

生地によっては、見た目では
あまり分からない変化もありましたが、
小さな変化も1日中身につけるモノになると大きな変化に繋がります。

糸の種類や、織り密度、織組織
いろんな要素が関係して
洗うほどに、着るほどにいろんな表情が楽しめる和木綿。

織り上がりの風合いも、
洗濯を重ねた風合いも、
織り上がりの色も、
洗濯を重ねた色も、
育ち変化する生地としていろんな風合いが味わえるのは、
和木綿の醍醐味だと思います。

生地の経年変化でより愛着をもって
丁寧に着てくださるお客様をイメージして、
その気持ちに応えられるよう、
宮田織物はこれからも「丁寧なものづくり」に励んでいきたいと思います。

久留米絣ではありません

宮田織物が生産する布地は、
久留米絣ではございません。

宮田織物が生産する布地は、
久留米絣が起源のオリジナルの「和木綿」です。

以前から、
「宮田織物の商品は久留米絣ですか?」
というお尋ねをよく頂きますが違います。

しかし、起源は久留米絣にあります。

先日ご紹介した宮田織物のモノヅクリと歴史を見て頂くと
ご理解いただけると思います。

宮田織物の現在とこれから

宮田織物では、現在 約160,000メートル、
年間を通して「和木綿」を織り続けています。

久留米絣の知識や味わいを活かし、
オリジナルの布地「和木綿」を製作。

和木綿を織るという工程だけでも、
たくさんの人と、たくさんの手仕事があります。

ここからはじまり、
今度は商品の企画・デザイン・裁断・縫製へと
つながっていくのです。

布地を買って、商品を作るのではありません。
布地の織りから、自社でやることの意味。

木綿織物である「和木綿」を理解し、
本当の意味での心地よさ・着心地の追求。

着てくださる皆様の笑顔を思い浮かべながら、
「ひと織り、ひと針、愛情こめて。」
今日も、ものづくりに励んでおります。

宮田織物株式会社

(社長吉開ブログ・Instagram miya_laboより抜粋)