宮田織物の人から生まれるものづくり

宮田織物の人から生まれるものづくり

テキスタイルの設計をする時、
生地を触って厚みや風合いを手で感じ取り考える。

整経をする時、
流れる糸をさーっと手で撫でて状態を確認する。

織物を織る時、
生地の表情がどうなっているか、
手で表面を触って問題がないか確かめる。

服のデザインだって、パターンを引くときだって、
生地を切る時だって、縫う時だって、アイロンだって、
わたを入れる時だって、はんてんのとじも、
検品も、出荷も、お客様へ商品をお渡しする時も、

手から手への宮田織物のモノヅクリ。

  • 織布「引き込み」
  • 織布工程
  • 30メートルで行なう検反
  • 織り工程最終の検反作業
  • はんてんに中わたを入れる作業
  • はんてんの中わたをとじる作業

織布「引き込み」

下の写真は、宮田織物の布地の特徴でもある
経糸の「引き込み」と呼ばれる作業。


3000本~5000本の糸を、
二人一組で通していくという手作業です。

宮田織物の和木綿に命を吹き込む、
表情をつける大切なひと手間になるのです。

織布工程

織物には織布工程という、
糸から布を織るまでの工程を担当する人がいます。

今回は、その織布工程から糸1本1本、
生地1柄1柄を細かくチェックする職人を紹介します。

集中力と体力が必要な仕事

日々、何百メートルという単位で
織り上がる生地達ですが、
生地織りでのエラーは糸1本単位で発生します。

その日の気温・湿度など、
毎日変わる工場内での環境で、

それぞれの織機の特徴を把握して、
発生したエラーに即座に対応し、織機を稼働させていきます。

写真の生地は経糸が2702本。

そのうちの、どこの糸が切れたのかを確認し、
人の手でつなぎ合わせていきます。

糸が切れないように、
ある一定の湿度で保たれた工場内での細かい作業は、
とても集中力と体力が必要です。

30メートルで行なう検反

生地を織る段階で、
織り始めてから約30mの所で生地を切り、
織機から下ろして、検反(反物検査)をします。

通常50~100m巻きのものを途中で切ったりしません。
その分、余分な手間と時間がかかりますから。

「わざわざ切るのですか?」と、必ずびっくりされます。

では、なぜこれをやるのか
というと、織物のキズがないかをしっかりと確認するためです。

もちろん、織っている段階で定期的に
チェックしていますが(この工程を機織りといいます)、

宮田織物のオリジナル素材「和木綿」は、
意匠糸(いろいろな形や太さの糸)を使った変わり織りが多く、
機織りの段階で織りキズ等が見えにくい時があります。
それをそのまま織っていったら、織りキズが広がっていきます。

また、新しい織物ができたら、必ず試織をしますが、
試織でキズが出なくとも本番で出たりします。

ですから、本番で30m織った段階で、
一度切って織機から下ろして、検反をするという風に決めたのです。

これにより、キズの発生率はかなり低くなりました。

織り工程最終の検反作業

そして、生地を織り終わった後の検反作業。
慣れた手つきで生地のチェックをしていきます。

ふと、手が止まったかと思うと、
織りの工程の中で、空気中に浮遊していた
風綿とよばれる糸が入り込んでいました。

この糸に対しても、ピンセットで丁寧に抜いていきます。

ここ以外にも、たくさんの手間をかけて
作られている宮田織物の生地。

織り上がった生地や製品では
見えない部分かもしれませんが、
手を抜かず、糸1本1本
さまざな人の手間を込めたものづくりをやっています。

はんてんに、中わたを入れる作業

はんてんの中わた入れは、
わたの性質を考慮し、
部分的に厚くしたり、薄くしたり
わたの繊維の方向を変えることで
強度も加え、手で加減をしながら、中わたを入れていきます。

わた入れ作業を担当している森さんが、
テレビ取材で、
「思いをこめて(わたを)入れています」
と答えていました。

わた入れ作業も、
引き込み作業と同じく、二人で行います。

ですから、二人の息が合わないとうまくいきません。

どうしたら相手が仕事しやすいか、
相手への思いがここには常にあります。

森さんの思いは、
「着て下さるお客様への思いであり、
仕事を共にする同僚への思い」でもあります。

この「相手への思いやり」は、機械ではたぶんできません。

はんてんの中わたをとじる作業

とじ縫いは、わたの入り具合を見ながら、
力のかかる所の針目は小さく、
原則として7~8mm程度の針目で、
わたのふっくら感を生かすように手で加減しながら、とじていきます。

機械ではできない「良い按配」

いずれも「手で加減しながら」、
良い「按配(あんばい)」になるようにするのです。

この「手で加減する」ことは
機械ではできません。

ですから、宮田織物は
手加減ができて、思いの込められる
手作業にこだわるというわけです。

もちろん、機械でなければ
できないことも多く

宮田織物にも、
自動裁断システムや、50年選手の織機など、
新旧たくさんの機械があります。

ただ、機械にはない「思い」を
人の手で入れていくことは、
宮田織物のものづくりの基本だと感じています。

AIにはない愛がある

ふと思いついた言葉ですが、
(そして駄洒落ですが)、
これからも愛=思いを込めて
ものづくりをしてまいります。

ほら、「按配(あんばい)」という
言葉にも、ちゃんと手偏(てへん)が入っていますよ。

今日も感謝のものづくりを。
お客様の笑顔のために。
自分達の笑顔のために。

(Instagram miya_labo 掲載文・社長吉開のブログより)